新型コロナウイルスの影響で、子どもから大人まで「ウイルス」を知るようになりました。ウイルスは「怖いもの」と想像しますが、ウイルスは空気中にも水中にも当たり前のように存在しており、600種以上が見つかっています。本当に怖いものはその中のごく一部なのです。また、ウイルスは微生物であると思われがちですが、そうではなく「単なる物質」です。細菌でもありません。「生物」は、❶細胞でできていること、❷生命活動のエネルギーをつくる仕組みがあること、❸仲間を増やすことができることの3つの要素が必要です。これらは中3で学習します。
ウイルスには細胞がありません。「核酸」(タンパク質)が「カプシド」という殻(から)でおおわれているだけです。そして自分自身でタンパク質を作ることができません。タンパク質が作れないから自分だけでは仲間を増やすことができないのです。そこで他の生物の細胞の中に入って、増殖しようとします。しかもウイルスによってどんな生物の細胞に入るのか決まっています。その生物を「宿主」(しゅくしゅ)と呼びます。宿主が死んでしまうとウイルスも死んでしまうので、ウイルスは宿主を死なせることはありません。つまり「共生」しているのです。例えばインフルエンザウイルスは、鴨が宿主ですので鴨は害を受けることはありません。今回の新型コロナウイルスはコウモリが宿主です。だからコウモリは害を受けませんが、そこから飛び出してきたウイルスは人間に感染した途端、「人間とは共生でない」ので害を及ぼします。
ではウイルスを退治するにはどうするのか。それは感染前のワクチン接種による抗体をつくることと、感染後の治療薬によるウイルスの不活性化です。毎年秋にインフルエンザの予防接種をしますが、それと同じ方法です。
世界中でワクチンと治療薬の開発が急ピッチで行われています。
2020年8月16日
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